凡夫の叙情とエッセイ

頭で考えたり心で考えたりして書き散らす

2021-06-25から1日間の記事一覧

孤独回帰

雨に打たれたいと思った。服も、髪も、肌着も、ビシャビシャに濡らして、重たい靴を踏みながら歩きたい。そして家に帰って、お風呂に入るんだ。夕闇を溶かす仄暗い欲場で雨音を聴きながら湯船で、思うままに任せて思いを巡らせたい。その全てを詩の意味だと…

誰かを愛する

誰かを愛する。というのは容易だ。 恋もまた容易だ。 大抵の人なら誰だって深く長く愛せる事だろう。 愛は愛着があればいい。面白ければそれでいい。 恋なら我を忘れればいい。高揚して酔っ払って過ごせばいい。 しかして、その誰かを愛するあいだの自分はど…

日々の肌触り

明日は休日なので夜ふかしをする。ゆとりのある夜。ゆとりのある朝。せせらぎの聞こえ始めるような静かな時間。この頃は気づかなかった夜の音や朝の布団の温もりが優しくて仕方のないこと。ああ仕方のないこと……。こういった日々の無意味こそ、たとえ日々の…

再会

声をかけようか迷う自分の姿を見て次にしようと思う幾ばくの寂しさややるせなさを浮かべながら今日も一日が過ぎてゆくすっかり終わっても喉元を過ぎても日々は明日へと続いてゆく

多様性について

街中を歩くと誰かは俺を避けてくれる。俺も誰かを避ける。それって共存だと思うんだよ。細やかながら。誰かに迷惑をかけるってことでもあるわけだけど。誰かの迷惑をこうむるってことでもあるんだけど。大なり小なり、人と人が関わらないように気遣うっての…

停滞

愛し合う事の苦しみといえば、その言葉の数々が本当に必要ではなくなり始めた時の苦しみ。愛し合う僕らは、きっと死神になる。愛の為に形ばかりの死神になる。愛する事にも、愛される事にも甘んじた時に。 ねえ、カーテンを閉めて。 灯りを消して。 そして、…

近所の夜

電柱と、それに付随する街灯がおよそ等間隔で並ぶ路地。雨水を含んだアスファルトが光を受けて白く光っている。 電柱から電柱へ、夜空よりも黒い電線が僅かな曲線を作りながらかかっている。 辺りは静かで、心地よい程度に寒い。 至ってシンプルな深夜。

成せる事を成して行け

一歩一歩。 一漕ぎ一漕ぎ。 一つ一つ。 そうしなければ私たちはどこへも行けしないらしい。そうどこへも。 やりたい事も叶えたい事もある。誰だってそうだろう。生きていれば欲はある。 ただまあ、期待が大きくなったり多くなったりするほど、やれない事も叶…