人の命は……
万能ではない僕らがそれでも欲深く、何かを大切に思うのならば「なるようになる」そう思わずしてどうして大切に思えようか。
万能ではない僕らがそれでも欲深く、行動を起こすのならば「駄目で元々」そう思わずしてどうして甘んじずに居られようか。
我が意一つ、思うままにはできないのにそれでも愛着し、成功をのぞむ。幸福を望む。
身の程知らず。それで何が可笑しかろうか。
身の程を知り、満ち足りたとして、嗚呼夢がなければ人の命は軽すぎる。
何をいわんや、ならばただ軽いのだろうと言う者はあるか? あああるだろう。
しかして、夢を持つのが人の真か、あるがまま無能こそが人の真か。
皆まで言うまい。夢がなければ、人の命は軽すぎる。それだけの事だ。