可愛いね
可愛いね。という言葉に幾らか侮蔑の意識があるんじゃないのか。
そんな風に迷ったことがある。
愛玩動物、児童、時には愛くるしい女の子や間の抜けた人……。
可愛いという言葉がしばしば毒を持つような気がするのは、おそらく間違いではない。
しかし「可愛い」とは「いじらしい」という思いだ。
そう「可愛い」は思いだ。
だからべつに全ての「可愛い」が悪いわけではない。
幼く感じたり滑稽に感じたりしてみくびる時に、相手に向かって親しみを持って格付ける「可愛い」
これはまったく失礼な話だし、たとえ児童へでも動物へでも不躾極まりない言葉の向け方だと思う。
どれだけの親しみを込めても、人を見下して格付けるなど傲慢で浅はかで愚かしいと思う。
一方、誰かや何かを思い、いじらしい心になる。それは恋というには当然異なり、美しい(恍惚)と言うにも異なる。
得難いと思うとき、儚むとき、親しむ(馴染む)とき、好ましいとき。
それで口をついて出るのが心情を表す「可愛い」だ。
なんだ、素敵じゃないか。