凡夫の叙情とエッセイ

頭で考えたり心で考えたりして書き散らす

夢の記録。百鬼夜行

夢の中に滅茶苦茶たくさんの虫が出てきた。
初めは家に蚊がたくさんでるようになった。
それからダニがでて、トンボが出て、カマキリが出て……。
どうしようもなくて、引っ越しを真剣に考え始めた頃ゾロゾロと、虫を始めとした百鬼夜行のような奇々怪々な行列が出てきた。
俺はただ息を潜めて、過ぎるのを待った。
けれど仲に知り合いが居たものだからこれはいけないと思って、勇気を絞って声をかけた。
「お前も、ついていくのか?」
「ああ楽しいだろ、お祭り騒ぎだ」
「ここに、いないか」
「でもせっかくの行列だ」
「ここに、いてくれよ」
半ば強引に腕を引っ張って行列から引きずり出した。
一瞬、行列達が俺をチラリと見たので背筋が冷えたがそのまま前へ前へとすすんでいった。
やがて行列は全て窓の向こうへ消えて、俺とその知り合いは呆然とした。
その日から虫は出なくなった。