大人になった。
忙しくなった。
我慢が増えた。
心を忘れるように努めた。
胸の中に瞬く星星は1つ、また1つとその姿を消した。
口から出る詩は、胸に描かれる絵画は、瞼に広がる映画は、かすれて想いにならない。
また1つ、また1つと、星を失い、生命を忘れたものと成り果てる。
核爆発なんて起こらなくても、大人の胸からは星が消える。花が消える。
夜はただの時間で、朝の想いに応える花も当然ない。
無関心の深まる大人には背筋の冷える無機質さがある。
何かのぶっ壊れてしまうようなボタンを指先は探している。
「それはきっと赤色の」